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2017年09月

最初に断っておくと、秘蔵の設定資料とかは出てきません!(笑)
そういうものは実家に置きっぱなしで手元にありません。

まずプロジェクトが始まった経緯。
バリエはそれまでは、中嶋悟とか新日本プロレスとか、アニメ、マンガ等、版権物のゲームを中心にゲームを開発していたんですが、だんだんそういったものの売上が落ちてきたので、オリジナルゲームも作っていかないとという段階に来ていました。

そのときちょうど、サターンが発売され、X指定(18歳以上推奨)のゲームが作れるということがわかりました。
ローンチ直後だったため、まだX指定タイトルも少ないし、これは何か出せば話題になるだろうと思ったわけです。
その頃は、まさにパソコンのエロゲー(当時は美少女ゲームと呼んでいた)ブームで、エルフとかアリスソフトが絶頂の頃でした。
美少女ゲーム(今見るとすごい呼称だな…)が大好きという社員が多かったので、これは何か作るしか無いだろうということになりました。

ゲームのジャンルは元々、雀獣学園(キャラデザ:遊人)という麻雀ゲームをスーパーファミコンで出していたので、麻雀のアルゴリズムが既にあったため麻雀でいこうとすぐに決まりました。
もちろん脱衣麻雀です(笑)
みんなリアル麻雀やVIPERのファンだったので、すんなりと決定しました。

また、それまでのハードではアニメーション表示をするにはパターンを1枚1枚製作する必要があり、しかも容量の制限がきつかったため、かなり高度な技術が必要でした。
しかしサターンは動画再生が可能なハードということで、アニメーションパートをアニメ会社に発注して、作ってもらった動画を流せば良いので、格段にアニメーション表示の敷居が下がったわけです。

さらに幸運なことに、スタッフの中に元アニメーターの人(グラフティのキャラデザの人)がいたため、話はすんなり進んでいきました(アニメパートの作監もグラフティのキャラデザの人が担当することになる)

キャラクターデザイナーは、僕がそれまでにナージュリーブル、キャッツランのキャラデザをやっていたので、今回も僕が担当することになりました。

で、まず最初にとりかかったのは、もちろんキャラクターデザインです。
前回書いたように、プランナーと僕でイメージをすりあわせてキャラクターをデザインしていきました。

表情の設定、服装のデザイン、下着のデザインなんかを作成しました。
完全ヌードのデザインはありません。だってそこまで脱がないから(笑)

まず最初にデザインしたのは菖蒲です。
彼女が全体のデザインの基本、基準になります。
髪の長さとか胸の大きさとか、基本になるキャラクターということもあり、すべてが標準的(笑)

「前開きのセーラー服ってAVでしか見たこと無い」って言われたんだけど(当時はまだそんなに多彩な制服のデザインが無かった)、こっちのほうが可愛い上にエロいだろってことで押し通しました。

基本となるキャラクターが完成すると、それを基準にして他のキャラクターもデザインしていきます。
気をつけたのは「ぱっと見でなんとなくどんな人物かわかる」という点です。

弥生
スポーツブラって逆にエロいよねってことで採用。
強気一辺倒ではなく、ちょっと繊細な面も表現した。

水無
本当ならヒラヒラのロリータファッションが似合うと思うんだけど、なぜか地味なセーターに。
でもそのおかげで「自宅に遊びに来た感」が強まった。
ピカチュウを見るたび思い出せ。

清夏
黒髪だと見た目が重かったので髪の色を薄めに。
隅から隅までお嬢様。

葉月
「綺麗なお姉さんは好きですか?」というCMが流行ってた頃(笑)
タイトなミニスカートにストッキング+ハイヒール。
こちらもお色気一辺倒ではなく、可愛さも残っている感じを出したかった。

そしてデザインが完成すると、次はキャスティングとアニメーション会社とのやりとりが始まるのである。

つづく

絵柄の話、第3回です。

微妙に絵柄の話というよりは、キャラクター造形の話に移っていくかもしれません。

「キャラクター造形」というのがどんなものかと言うと、「キャラクターの外見とその外見から伝わる内面」と定義しておきます。
また、キャラクターは、作品そのものの構築にも関わってきます。

僕の「キャラクター造形」において影響を与えたのは、第1回、第2回で紹介した作品群になりますが、その後さらに大きく影響を与えたものが2つあります。

まずはこれ。
白倉由美の作品です。

sss
今見るとめっちゃ顔歪んでるな。当時も歪んでたけど(笑)

やっぱり少女漫画系の絵柄なんだけど、ちょっと違うのが当時のロリコンブームの影響を受けた絵柄だったのが新鮮だったのと、他のロリコン漫画はだいたい作家が男かオタクの女性だったので、ファッションセンスが絶望的だったんだけど、白倉由美の作品は当時のロリータファッションの代表ピンクハウスの服を着ていたりして、服装のセンスが突出して良かった。
その後のエロゲーでは当たり前になった、オリジナルデザインのセーラー服も繊細な線で描かれており、とても魅力的でした。
僕はそれまではブレーザー派で、セーラー服はなんか田舎の学校のイメージがあったんだけど、この作品によってその立場は逆転しました(笑)
そして他の服はともかく、「セーラー服だけはあらゆる角度から描ける」という特殊技能を手に入れました。

・・・・・

そしてもう1つの影響を受けた作品ですが、画像はみつかりませんでした。
その作品というか、キャラクターはあの有名な(たぶん有名だと思うんだけど)くりいむれもんの亜美です。

え?くりいむれもんの亜美だったらネットで画像あるでしょ!?って思うかもしれませんが、僕が好きなのは、たくさんある亜美シリーズのたった1話の亜美だけだから、画像はみつけられませんでした。

シリーズの何話目なのかも全然わからないのですが、とにかくその回だけはいつもと全然作画が違っていて、記憶では結城信輝みたいな作画だったと思います。
とにかくその回の亜美だけが好きで、ビデオで何度も見返しました。
ストーリーも全く覚えていません。絵しか見てなかったから。
タイトルも全く思い出せないので、ビデオテープの時代が終わり、DVD時代になってからは見返したいと思っても情報がないので一度も見返したことがありません。
誰か知ってたら教えてください(笑)

でもとにかく、そのたった1話の亜美の虜になっていたわけです。

そして、ここから「キャラクター造形」の話になるんですが、僕はそれまでずっと「幻夢戦記レダ」から、「戦うヒロイン」が好きでした。
だから僕も「戦うヒロイン」ばっかり描いていた。

ところが、白倉由美の描くヒロインや、くりいむれもんの亜美は間違っても戦わない(笑)
戦わないどころか、そもそも特別な特徴も無い「普通の女の子」なわけです。
普通に可愛くて、普通にエロい。
そういところがすごくリアルだと思った。
そして、これが最強だろうと。

さて、勘の良い諸君ならそろそろ話が見えてきただろう(笑)

つまり、「ときめき麻雀パラダイス」の菖蒲のベースになったのは、くりいむれもんの亜美です。
正確には亜美+白倉由美の描くヒロインですが、ベースになるのは亜美のほう。
しかも、たった1話の亜美です。

・・・・・

ついでなので、「ときめき麻雀パラダイス」の全キャラについて語っておこう。

皐月菖蒲
「自由に考えていいよ」と言われたので、自分にとって最もコアな「普通に可愛い子」造形とした。

桐月弥生
プランナーの猛烈な希望により「ボーイッシュなセーラーマーズ」というオーダーで造形。幸運なことに声もセーラーマーズ(笑)
髪型や服装は、その頃同人誌で描いていた「火音(かのん)」という格闘漫画のヒロインと同じ。

涼暮水無
ナージュの舞、ナイトゥルースの藍など、バリエ作品不動の固定ロリ枠(笑)
「自宅で私服」ということで地味な服装にした。

卯月清夏
「夏の浜辺のお嬢様」という方向性でいこうということで、じゃあ麦わら帽子でロングヘアーで白いワンピースだろうと。
特定のベースになるようなキャラクターはいないし、後にも先にも同じようなキャラがいない突然変異的な造形。

神楽葉月
こちらもプランナーの猛烈な希望により、アイドル伝説えり子の朝霧 麗、ボーグマンのメモリーみたいなイメージ。
僕もどっちも好きだけど。
あと少し、「ナージュリーブル」の彩香が大人になったイメージが入ってます。

・・・・・

とりあえず絵柄とキャラクター造形の話はこれで一旦おわりです。
次は、「ときめき麻雀パラダイス」の開発秘話でも書こうかな。

士郎正宗みたいな緻密な絵柄は無理だという結論に達したところまで前回話しました。

そこで僕がどうしたかというと、おおまかに3つの方向性を模索しはじめました。
同時に、可愛い女の子キャラと同時にかっこいい男キャラを描くことにハマっていました。
grey
方向性1:たがみよしひさ

軽井沢シンドロームの頃の絵柄は好きじゃなかったんだけど、GREYあたりからの独特の幾何学的な描線と、スタイリッシュなセリフ回し、ひたすらクールな主人公の物語にハマり、僕の絵柄も急激にたがみよしひさ寄りになっていきました。
周囲には「なんだか絵がカクカクしてきたね」と言われ、全く理解されなかったけど(笑)


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方向性2:上條淳士

TO-Yの7巻あたりから絵が急激に洗練されてきて、めちゃくちゃスタイリッシュに。
漫画っぽい表現(スカートのひだにホワイトを入れたりしない)ではなく、白黒写真を見ているようなリアルさ、シンプルなのに豊かな描線。
これまたものすごく絵が上手くないとできないことだらけなんだけど、自分なりに真似たりして、今度は白黒がハッキリしたやたらコントラストの高い絵柄にハマる。
「カテドラル」の絵柄なんかは、モロにこの影響。

ut
an

方向性3:少女漫画風の絵柄

上が篠原千絵。下が高河ゆん。高河ゆんが少女漫画かというと疑問だが、アニメの影響を受けつつも少女漫画的な絵柄であるとは言えるだろう。
いずれも女性キャラも良いのだが、美形の男性キャラがかっこよく描かれている。

この篠原千絵の「海の闇、月の影」は、同級生のお母さんが読んでいたものを借りたのがきっかけというすごい角度から影響を受けたものだが(笑)、最初こそホラー仕立ての怖い絵柄だったのが、中盤からは「少女漫画の絵なのにかっこいい」という絶妙な絵柄に。
手の表情の描き方が素晴らしく、結局いまだにずっと影響を受けている。
ストーリーも超能力を持った双子が殺し合うというハードさで非常に面白い。

結局、「女性的なアニメ絵、少女漫画的なアニメ絵が好き」という部分に戻った感じ。

これら3つの絵柄の間を行ったり来たりしながら模索が続きます。


つづく

絵を描き始めた頃は絵柄というものは意識したことがなく、好きなものを好きなように描いていました。
はじめて絵柄というものを意識して、似せるために模写したり分析するようになったのは、幻夢戦記レダ、つまりいのまたむつみの絵でした。
中学生の頃です。
reda
今見るとあんまり可愛くないけど、当時は衝撃的な可愛さだった。
今だに剣描けって言われたらこの剣描いちゃう(笑)
「学校戦記」の剣もコレ+獣の槍だし。
後ろのゼルのポーズもかっこいい。

僕は元々、少年漫画的な絵が嫌い…というより汚らしいと思っていて、少年ジャンプとかも気持ち悪くて読めませんでした。劇画も大嫌いで、人間がまるで木彫りの人形みたいに思えて嫌だったのをおぼえています。

アニメのような均一な線で描かれたスッキリしてシャープな絵が好きでした。
あとは、どことなく女性的な印象の絵が好きで、いのまたむつみ以外で好きなのも、ベルばらの姫野さんとか、美樹本晴彦、垣野内成美、中嶋敦子…といったかんじ。

それで、朝から晩まで幻夢戦記レダのヒロイン、朝霧陽子ばっかり描いていた。
あとついでで敵の男美形キャラ、ゼルも描いているうちに男の美形キャラも好きになってきた(笑)

僕はその頃、漫画家になりたかった。
そのわりに少年漫画は絵が気持ち悪くて読めなかったんだけど(笑)
アニメみたいな絵の漫画があればいいのにと思っていた。
そしたら、本当にそういう漫画があらわれた。

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当時パソコン雑誌だったコンプティークの巻末漫画「神星記ヴァグランツ」である。
かっこいい登場人物、かわいい女の子が出て来るSFメカアクション。
間違いなくこれが最新の漫画のスタイルであり、もうこれしかないだろうと思った。

実際、このあとコミックコンプが発刊され、今のオタク向け漫画雑誌のさきがけとなったわけで、中学生にしてなかなかの嗅覚を持っていたと我ながら思う(笑)

それで僕もこの頃から、麻宮騎亜みたいに頬がとんがった絵を描くようになった(笑)
麻宮騎亜、BlackPiont、きくちみちたか、はたいけひろゆき…誰が同一人物なのか今だに良くわからないが、僕が特に一番好きな絵柄は、「青の騎士ベルゼルガ物語」のもの。

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これはだいぶ後に描かれたものっぽいけど、今の自分の絵に通じるものがあるのは見てのとおり。

そしてそこから、当時のオタクが避けては通れない作品に出会うわけである。

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士郎正宗「アップルシード」である。
リアルな描写と練り込まれた世界観。圧倒的情報量。
そして可愛いだけじゃない「戦うヒロイン」。

ただここまで来てしまうと、圧倒的な画力の高さが要求されるわけで、真似しきれない。
がんばってみたけど無理。
そもそも、よく考えたら銃器とか兵器とかにそんな興味無いわっていう(笑)
ここで方針転換を強いられたわけです。

つづく

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